どーも,ルールです。
マイレージプログラムは,航空会社が実施しているポイント制度です。フライト実績や提携クレジットカードの利用額などに応じて,マイルを貯めることができます。貯まったマイルは,航空券や座席のアップグレードなどに使用することが可能です。
それぞれの航空会社は,独自のマイレージプログラムを持っていますが,提携している他社の飛行機に搭乗してもマイルが貯まったり,他社の航空券に交換できます。
ANAはスターアライアンス,JALはワンワールドという航空連盟に加盟しており,加盟航空会社同士で提携しています。たとえばスターアライアンスに加盟しているタイ航空便に乗って,ANAのマイルを貯めることができますし,貯まったANAマイルはタイ航空の航空券に交換できるのです。
このようにマイレージプログラムには互換性があるので,どのマイレージプログラムを選んでも良いわけです。ただし,提携関係にあっても,A社で貯めたマイルを,B社に移行することは原則できません。効率よくマイルを運用しようと思ったら,1〜2社に集中させる必要があります。
僕はタイ航空便によく乗りますが,普段はANAのマイルを貯めています。ANAのマイレージプログラムはとても使いやすいですが,タイ航空の「ロイヤルオーキッドプラス(ROP)」を活用できないだろうかと思い,調べてみました。
タイ航空のマイルを貯める
これからお話するタイ航空のマイレージプログラム「ロイヤルオーキッドプラス」については,英語版のハンドブックに書かれています。残念ながら日本語版はないようです。
About Royal Orchid Plus | Member’s Handbook
タイ航空のマイルは,ANA・JALと同じく獲得から3年間有効です。タイ航空のマイルを貯める方法は,大きく3つあります。
フライトで貯める
フライトで貯められるマイルは,基本的に座席クラスと予約クラスによって加算率が決まります。そして,自社便に搭乗した場合に優遇されることが多いです。タイ航空便に搭乗したときに,タイ航空でマイルを貯めた場合とANAでマイルを貯めた場合を比較してみると,
座席クラス | 予約クラス | タイ航空 で貯める | ANA で貯める |
---|---|---|---|
ファースト | F/A/P | 150% | 150% |
ビジネス | C/D/J/Z | 125% | 125% |
プレエコ | U | 110% | 100% |
エコノミー | Y/B/M/H/Q | 100% | 100% |
K/T/S | 75% | 75% | |
G | 50% | 0% | |
V/W | 25% | 0% | |
L | 0% | 0% |
プレミアムエコノミーまたはエコノミークラスの割引運賃を購入した時に,タイ航空でマイルを貯めると加算率が優遇されます。
クレジットカード利用で貯める
ロイヤルオーキッドプラスカード(VISA/JCB)という提携クレジットカードがあります。それぞれ一般カードとゴールドカードがありますが,マイル還元率はどちらも1%です。入会時および毎年継続時に,一般カードで1,000マイル,ゴールドカードで2,000マイルもらえます。それ以外に入会キャンペーンはやっていないようです。
ロイヤルオーキッドプラス | SPGアメックス | ||
---|---|---|---|
一般 | ゴールド | ||
年会費 | 初年度無料 5,400円 | 16,200円 | 33,480円 |
入会特典 | 1000マイル | 2000マイル | 最大17,000ポイント |
マイル還元率 | 1% | 1% | 1.25% |
クレジットカード利用でタイ航空マイルを貯めたいなら,SPGアメックスの方が良いと思います。SPGアメックスのマイル還元率1.25%とロイヤルオーキッドプラスカードよりも高く,タイ航空以外のマイルに交換することも可能です。年会費は高いですが,移行先を選べるので使い勝手はかなり良いでしょう。 SPGアメックスの魅力については別記事にまとめています。
マイルを買う
ロイヤルオーキッドプラスでは,マイルを買うこともできます。ANAやJALにバイマイル制度はありませんが,海外の航空会社では割と普通です。購入レートは航空会社によって様々ですが,タイ航空の場合は1,000マイル単位で購入可能で,1,000マイルあたり40米ドル(または1,200バーツ)です。1マイルあたりの単価4.4円(1米ドル=110円換算)と,結構高いです。あとちょっとで特典に届くときなど,限られた場面での利用となりそうです。
タイ航空のマイルを使う
どの航空会社のマイレージプログラムを利用すべきかは,マイルの貯めやすさとマイルの使い勝手に大きく左右されます。たとえばユナイテッド航空やブリティッシュ・エアウェイズのマイレージプログラムは,ANAやJALのマイルを使うよりも少ないマイルでANA・JAL国内線航空券に交換することができ,人気が高いです。
結論から言いますと,タイ航空のマイレージプログラムに優位な点はほぼありませんでした。話題になっているのを見たことなかったので薄々気づいてましたけど。参考までに,まとめていきます。
タイ航空自社便マイル特典航空券
タイ航空のマイルで,自社便の特典航空券を発券するときを下表にまとめました。ANAマイル特典航空券と異なり片道発券が可能というメリットはあるものの,全体的に必要マイル数は多い印象です。
片道利用
区間マイル | 必要マイル数 | |||
---|---|---|---|---|
エコノミー | プレエコ | ビジネス | ファースト | |
タイ国内線 | 9,000 | 11,000 | 12,000 | - |
プーケット-チェンマイ | 17,500 | 21,000 | 28,000 | - |
~1,000 | 17,500 | 21,000 | 28,000 | - |
1,001~2,000 | 24,500 | 31,500 | 38,500 | 49,000 |
2,001~3,600 | 31,500 | 42,000 | 52,500 | 77,000 |
3,601~4,800 | 38,500 | 49,000 | 68,500 | 105,000 |
4,801~8,000 | 49,000 | 77,000 | 89,000 | 129,000 |
8,001~12,500 | 63,000 | 89,000 | 118,000 | 160,000 |
12,501~15,000 | 84,000 | - | 143,000 | 185,000 |
往復利用
区間マイル | 必要マイル数 | |||
---|---|---|---|---|
エコノミー | プレエコ | ビジネス | ファースト | |
タイ国内線 | 15,000 | 17,500 | 20,000 | - |
プーケット-チェンマイ | 25,000 | 30,000 | 40,000 | - |
~1,000 | 25,000 | 30,000 | 40,000 | - |
1,001~2,000 | 35,000 | 45,000 | 55,000 | 70,000 |
2,001~3,600 | 45,000 | 60,000 | 75,000 | 110,000 |
3,601~4,800 | 55,000 | 70,000 | 98,000 | 150,000 |
4,801~8,000 | 70,000 | 89,000 | 130,000 | 185,000 |
8,001~12,500 | 90,000 | 110,000 | 170,000 | 230,000 |
12,501~15,000 | 120,000 | - | 205,000 | 265,000 |
本当に必要マイル数が多いのか,関西ーバンコク間を例に考えてみましょう。関西ーバンコクの区間マイルは2,592マイルなので,表の2,001~3,600マイルに該当します。関西ーバンコク往復に必要なマイル数を,ANAマイルを使ってタイ航空便の特典航空券に交換する場合と比較してみると,
必要マイル数 | |||
---|---|---|---|
エコノミー | ビジネス | ファースト | |
タイ航空マイルで自社便 | 45,000 | 75,000 | 110,000 |
ANAマイルでタイ航空便 | 35,000 | 60,000 | 120,000 |
エコノミー・ビジネスクラスともに,ANAマイルを使った方が必要マイル数は少なくて済むことがわかります。ファーストクラスだとタイ航空マイルを使った方が若干少ないですが,そもそもANAマイルの方が圧倒的に貯めやすいことを考えると,有意差にはなりません。
タイ航空自社便アップグレード(片道)
タイ航空のマイルは,座席のアップグレードに利用するのが最も使い勝手が良いと思います。
必要マイル数 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
エコノミー →ビジネス | エコノミー →プレエコ | プレエコ →ビジネス | ビジネス →ファースト | |||||
対象予約クラス | Y/B/M | H/Q/S/T/K | G/V/W | Y/B/M/H/ Q/S/T/K | G/V/W | U | C/D/J | |
区間マイル | ~1,000 | 16,000 | 20,000 | 22,000 | 12,000 | 14,000 | 15,000 | - |
1,001~2,000 | 20,000 | 25,000 | 27,000 | 17,000 | 22,000 | 19,000 | 35,000 | |
2,001~3,600 | 24,000 | 30,000 | 35,000 | 20,000 | 28,000 | 22,000 | 40,000 | |
3,601~4,800 | 34,000 | 44,000 | 56,000 | 23,000 | 32,000 | 25,000 | 52,000 | |
4,801~8,000 | 38,000 | 50,000 | 70,000 | 25,000 | 42,000 | 28,000 | 58,000 | |
8,001~12,500 | 46,000 | 58,000 | 81,000 | 30,000 | 52,000 | 35,000 | 69,000 |
一部の格安運賃を除き,ほとんどの予約クラスがアップグレード対象となっているのです。これはANAにはない特徴で,非常に使いやすいと感じました。ただ,オンラインでの手続きはできないので,サービスデスクに電話する必要があるようです。日本支社であれば日本語対応ですが,本国は英語となります。
ANAの場合,対象となるのは高い運賃の予約クラスだけなので,そもそも対象の予約クラスの航空券を購入する機会が少ないんですよね。タイ航空のロイヤルオーキッドプラスなら,必要マイル数は増えるもののアップグレードする機会は確実にありそうです。
ANAのアップグレードについては別記事にまとめております。
ANAマイルを使って,タイ国際航空便をエコノミークラス→ビジネスクラスにアップグレードしたことがあります。スワンナプーム空港では,様々なサービスを体験することができました。
提携航空会社便マイル特典航空券(往復)
提携している航空会社便のマイル特典航空券に交換する場合についても,必要マイル数を表にしてみました。日本発の場合のみ掲載します。
目的地 | 日本発 | ||
---|---|---|---|
エコノミー | ビジネス | ファースト | |
中国・韓国など | 40,000 | 55,000 | 70,000 |
東南・西アジア | 60,000 | 90,000 | 120,000 |
中央アジア 中東 | 80,000 | 120,000 | 160,000 |
オーストラリア | 90,000 | 150,000 | 196,000 |
ニュージーランド オセアニア | 110,000 | 173,000 | 219,000 |
ハワイ | 50,000 | 86,000 | 115,000 |
ヨーロッパ 北アフリカ | 100,000 | 173,000 | 219,000 |
南・中央アフリカ | 120,000 | 184,000 | 242,000 |
北米 | 80,000 | 144,000 | 192,000 |
中南米 | 110,000 | 190,000 | 207,000 |
やはり,必要マイル数の多さが気になります。マイルを特典航空券に交換するなら,ANAのマイルを貯めた方が良さそうです。タイ航空便に搭乗する機会が多く,アップグレードでのマイル利用を考えるなら,ロイヤルオーキッドプラスに入会する意味はあると思います。
上級会員制度について
タイ航空のロイヤルオーキッドプラス(ROP)は4会員制です。飛行機の搭乗実績に応じて,レギュラー会員からシルバー・ゴールド・プラチナの上級会員にランクアップできます。
上級会員が得られるサービス
サービス | シルバー | ゴールド | プラチナ |
---|---|---|---|
ボーナスマイル | 3,000マイル | 5,000マイル | 10,000マイル |
専用チェックイン カウンター | × | ○ | ○ |
手荷物優先 タグ | ○ | ○ | ○ |
手荷物 許容量 | +10kg | +20kg | +30kg |
保安検査 優先レーン | × | ○ | ○ |
無料アップ グレード | × | 1往復分 | 1往復分。以降 50,000マイル達成 毎に1往復分追加 |
航空会社 ラウンジ利用 | × | ○ | ファースト ラウンジ |
優先搭乗 | × | ○ | ○ |
基本的には,上級会員が得られるメリットはANAやJALと変わりません。ロイヤルオーキッドプラスのゴールド会員以上になると,無料で1往復分のフライトをアップグレードすることができます。ちなみにANAは,24時間前にプレミアムエコノミーに空席があれば,無料アップグレードできます。ANAの上級会員サービスについては,スーパーフライヤーズカード(SFC)の魅力とともに語っているこちらの記事をどうぞ。
上級会員になるための条件
僕ら日本人に馴染み深いANAやJALは,航空券などに交換できるマイルとは別に,プレミアムポイント(PP)やフライオンポイント(FOP)と呼ばれる,会員ランクを決めるためのポイントが設けられています。1搭乗ごとに,計算式に従って,マイルとPP(またはFOP)がそれぞれ加算されます。
一方,ロイヤルオーキッドプラスではマイルだけが用いられており,一定期間内に貯めたマイルに応じて会員ランクが決まります。上級会員に必要な条件を,ANA・JALと比較してみましょう。
タイ航空 | ANA | JAL | ||
---|---|---|---|---|
1年間 | 2年間 | 1/1~12/31 | 1/1~12/31 | |
シルバー | 10,000マイル | 15,000マイル | ブロンズ 30,000PP | クリスタル 30,000FOP or 30フライト |
ゴールド | 50,000マイル or タイ航空便 国際線40フライト | 80,000マイル | プラチナ 50,000PP | サファイア 50,000FOP or 50フライト |
プラチナ | 招待制 | ダイヤモンド 100,000PP | JGCプレミア 80,000FOP or 80フライト | |
ダイヤモンド 100,000FOP or 120フライト |
会員ランクアップに必要なマイル(ポイント)は,ANAやJALと似たようなものですが,大きく異なる部分が3点あります。
- 期間は日付で区切られず,丸1年間。
- 2年間で必要条件をクリアしてもOK
- 最高ランクのプラチナ会員は招待制
ANAやJALは,毎年1月1日〜12月31日に○ポイントというのが条件ですが,タイ航空の場合,入会後はいつからでも1年間に10,000マイル貯まればシルバー会員になれます。2年間での達成条件は若干緩くなってます。なお,会員資格は,必要な条件を満たした瞬間から2年間です。
また,プラチナ会員は完全招待制で,タイ航空便のビジネスクラス・ファーストクラスによく搭乗する方に招待状が届くようです。
まとめ
関西ーバンコク間は,JALが1日1便,タイ航空が1日2便運航しており,昼間の便があるのはタイ航空だけ。夕方にバンコクへ到着してホテルで寝られるので,タイ航空便はとても便利なんです。
タイ航空のロイヤルオーキッドプラスは,ANAのマイレージプログラムと比べて特に貯めやすいことはなく,航空券への交換に必要なマイル数も多いです。座席のアップグレードに使用する場合は,対象予約クラスが広くて使い勝手が良いです。タイ航空便の利用頻度が高い場合は,アップグレード狙いで貯めるのは有りかもしれません。スターアライアンス系のマイレージプログラムとして,あえてロイヤルオーキッドプラスを選ぶ意味はないかなと思います。
ANAマイルを爆発的に貯める方法は,こちらの記事で詳しく紹介しています。
最後のまとめ・・・150%同意です。あえてROPでマイルを貯める意味はほとんどありません(苦笑)。
SFCのような制度でもあれば再考の余地はあるでしょうけど、ROPゴールド維持が大変過ぎるので自分もAMCに変え、SFC獲得したクチです。
自分もROPに貯まったマイル(全てクレカポイント移行分)はアップグレード用にしか使っていません。本国のサイトで昔はオンラインで可否確認と手続きが出来ましたが、今はそれも出来なくなった上にサービスデスクへリクエストしても枠が無いと断られる率もかなり高い点は注意が必要と思います。
自分の場合、復路(日本発)のアップグレードはタイ航空の日本支社でお願いしますが、こちらは今までのところ成功率100%です。ただし回線が少ないのか、なかなか繋がらないのがネック。ナショナルキャリアとは言っても、やっぱりタイはどこまで行ってもタイだと言う事です(爆)。
質問させて頂きます。永年、スタ-アライアンスの航空会社を利用した場合は、ROPのカ-ドにマイルを貯めてきました。シルバ-会員のメンバ-カ-ドを持っています。しかしながら、一度もマイルを使用したことがありません。PINコ-ドも不明です。HPが英語の為、今、何ポイントあるかも不明です。タイ出張もなくなり、今回、ANAマイレ-ジに入会しました。そこで質問です。 ①今、何マイルあるか知りたい②保有マイルは、現実、何かに使えるか ③直近の海外旅行で貯めたROPマイルをANAマイルに事後申請できるか(3月にエジプト航空を利用し、ROPカ-ドで処理)④カ-ドにある『QA46392』は、IDか(又、左記NOに空きスペ-スはあるのか 『QA 46 392』が正しいのか) 以上、基本的には諦めていますが、何か手があればお教え下さい。宜しくお願い致します。
KAZUAKIさん,コメントありがとうございます!
当方でわかる範囲で回答させていただきます。
①まず今何マイルあるか確認することは可能だと思います。
②何マイルあるかによりますが,記事に書いてますとおりアップグレードに利用されるか,マイル特典航空券に交換するのが最良です。
③一度ROPマイルに交換してしまったマイルを,ANAマイルに交換することはできません。ROPに限らず基本的に,マイル間での交換はできないようになっています。
④試しに僕も入会してみたら,アルファベット2文字+5桁の数字でした。よって,「QA~」はIDだと思います。(空きスペースは無しです)
さて,何マイルあるか確認するためには,ログインしなければなりません。KAZUAKIさんは,IDはわかっているもののPINコードが不明なのでログインできない状況ですよね。そこで,下記URLより,PINコードをリセットしてください。記入したメールアドレス宛に新しいPINコードが届くはずです。
https://www.thaiairways.com/en_TH/rop/Reset_Pin/Reset_Pin.page
PINコードが届きましたら,下記ページにてIDと新しいPINコードでログインされてください。Current Mileageが,現在の保有マイルです。
https://www.thaiairways.com/en_TH/rop/index.page
もし上記手順でもログインできなかったら,タイ航空の日本地区コールセンター(03-3503-3311)に電話で確認されてみてください。平日9:00~17:00であれば,電話つながるはずです。以上,無事解決できることをお祈りしております。
やまさん,こんにちは!
やはりそうですか。ROPの良いところないかなぁと探したんですが,ANAで貯めた方が良いという結論でした。でもアップグレードは使いやすいですよね,やまさんも実際そうされていると聞いて確信を持てました。
手続きについて,オンラインではできないんですね。有益な情報をありがとうございます。さっそく記事にも反映しておきます。